インタービューなどなど
内沼晋太郎(ブック・コーディネイター)×鳥井シンゴ
内沼晋太郎(以下内):そもそも本は、なぜ出そうということになったんですか?
鳥井シンゴ(以下鳥):一言でいうと、需要があったから。そもそも、ビジネスプロデューサーの鈴木領一さんから「本を出されてはどうですか」というようなお話をいただきまして、じゃあ書いてみますか、ということで、直ぐに書きました。
内:鳥井さんほどの方なら、これまでも書こうと思えば書ける機会はありましたよね?なぜ今、このタイミングなのでしょうか。
鳥:私の場合、この本の中にも書いてあるように「マーケットがあったらそれを仕事にする」というのがもともとの発想なんです。
内:なるほど「本を出したいから」出すというのではなくて、「出して欲しいと言われるから」、すなわちマーケットがあったから出す、ということですね。
鳥:そうですね、私のアイデアビジネスという仕事の、最も根本にあるやり方というのが「需要に対して供給する」ということなんです。この本にもたくさんそういう発想の方法のことが、実例を元に書かれていると。
内:なるほど。「なぜこの本を出そうとしたか」という質問に答えていただいただけで、すでに本の内容の説明になってしまっている、というわけですが、もう少し詳しく聞かせてください。そもそもこの『儲かる発想』というのは、どういう本なんでしょうか。
鳥:アイデアは浮かぶんだけど、それをお金にできない、という人がたくさんいます。それはなぜかというと、アイデアを「考えてから売っている」からなんですよ。そうではなくて、「売れるように考え」なきゃいけない。 マーケットに対して、自分のアイデアをどういう風にぶつけていくかとか、どういう仕組みにすれば自分のアイデアが生かされていくかとか、そういうことを考えながら、実際の具体的なアイデアをどんどん練っていくための方法を詰め込んだ本です。
内:アイデアからお金を生むための本、というわけですね。
鳥:そうです。あと、こういった発想や自己啓発の本は「儲けよう」「今やろう」というコンセプトばかりが先行して、具体例があるものが非常に少ない。「いくらで仕入れていくらで売ればいくら儲けられる」というような実際の想像ができる具体例を、なるべく多く盛り込みました。
内:たしかにそうかもしれませんね。この本は、どういう人に読まれるだろうと考えていますか。いわゆるアイデアでビジネスをされている、企画者のような方でしょうか。
鳥:それもありますが、広くビジネスマンですね。例えばあなたが営業マンだとします。実際に本の中にも書いたのですが、8倍長持ちする電球があります。値段は通常の3倍です。それをひとつずつ家庭の主婦に営業していますと。それでは売れないんですよ、値段が高いから。そこで「長持ちする」というものがニーズとして求められているマーケットはどこかと考えて、例えば手の届かないような高さに照明があるホテルのような場所だと気がつく。そこには、電球を交換するための従業員のコストが既にかかっているからです。そういう発想ができるかどうかなんですよ。
内:確かに、その通りですね!
鳥:企業の中で「なぜ私のアイデアは採用されないんだろう」と悩んでいるような人はもちろん、どこに営業にいけばいいか、自分はどういうふうにセールスをすればいいのか悩んでいる営業の人。もちろん自分で商品を作っている人も。商売をするすべての人に、役立てていただけるものがあると思います。ぼくの本を読んだことをきっかけに、1人でも2人でも、人生が変わるような気づきがあったらいいなと思います。内沼さんの、本をセレクトするという仕事も、そういうお仕事ですよね。
内:そうですね。ぼくはアパレルや飲食店、宿泊施設のロビーなどに置く、販売用もしくは閲覧用の本をセレクトする仕事をしているのですが、やはり誰かがぼくの選んだ本と出会うことによって、人生がちょっとだけ変わるようなことがあればいいなと思っています。
鳥:本というのは、お金をかけずに人生が変わるほどのインパクトがあるという意味では、お金の価値に換算すると、非常に安いと思うんですよ。たくさん本を読んで、人生をどんどん変えていただきたいと思いますね。
内:ぼくもすごくそう思います。鳥井さんの本も、それ以外の本も、ぜひたくさんの本に触れていただきたいですね。次回作などは既に構想されているのですか。
鳥:相手のニーズを知るというのは、いかに相手のモチベーションをコントロールできるかというところにつながってきます。そんな本を次に出したいです。だれかいませんか?
内:(笑)なるほど。モチベーションコントロールの本も非常にたくさんありますが、鳥井さんの書かれるものならぜひ読んでみたいです。それもニーズがあるから執筆し、出版するということですね。
鳥:その通りです。需要があるなら供給しようと思います。それに読んだ人も儲かるならいいですね。私にとっては、名刺代わりとしても、ビジネスにとても役に立ちます。もともとやっているアイデアコンサルの仕事などで、私を起用しようという人が上司を納得させるための材料であったりとか。私の本の需要が、私自身の需要につながるというわけです。だれも損をしない訳です。
内:なるほど。実はいま、ぼくもずっと書き溜めていた連載を本にしないか言ってくれている編集者の方がいるにもかかわらず、忙しさにかまけてなかなか手をつけられずにいたのですが、そういう意味では書いたほうが色々広がりそうですね。どういう需要に対してどういうアプローチで本を書くのがいいのか、さっそく鳥井さんの本を読んで勉強したいと思います。
鳥:ぜひ。楽しみにしています。何かをすればそれは何かのインパクトになりますから。やるが易しです。
内沼晋太郎
1980年生。一橋大学商学部商学科(ブランド論)卒。ブック・コーディネイター、クリエイティヴ・ディレクター。「本とアイデア」のレーベル「numabooks」代表。http://numabooks.com
掲載情報
[2010.9.2] あっ!とおどろく放送局『浜田ブリトニーのぱねぇ!ch』 第三回目ゲスト出演
http://www.youtube.com/watch?v=WnMVtwJ-80I
[2008.9.2] 小川浩ネツトショッキング ]watch.impress
http://cloud.watch.impress.co.jp/epw/cda/ogawa/2008/09/02/13683.html
[2008] 巨匠ism 第2回目 鳥井シンゴ - ]CINRA MAGAZINE vol.18
http://cinra-magazine.net/vol.18/link/040.html